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駄目オタ徒然草
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「泣くまではいたらず」(アニメ評:イリヤの空UFOの夏)
イリヤの空、UFOの夏」全6話 東映アニメーション
監督:伊藤尚往 原作:秋山瑞人
キャラデザイン:駒都えーじ
iriyaDVD


 最上のダイジェスト版。それが、この作品に対するボクの評価。

 確かに、文庫本4冊の話を1クール分に引き延ばしたところで、果たして充実した作品になるかは疑問ではある。が、だからといって、30分枠の半クール、6話に納めきれる話でもなかっただろう。

 映像は、さすが老舗の東映アニメーションだけあって、実に美しく、丁寧な作りに仕上がっている。監督・演出についても、原作ありの作品を仕上げるノウハウを心得ていて、原作の雰囲気を壊すことなく、各エピソードとキャラクターを組み立てている。

 たとえば、この作品の中盤のヤマである、浅羽とイリヤのマイムマイムに至る話の流れは、イリヤのうちに秘めた想いと、これに応えたい浅羽に、何とかして、浅羽の心を引き留めたい秋穂の行動をからめ、原作のテンポよい流れを彷彿させる作りになっている。
 また、"その時"の映像も、ブラックマンタのCGが、丁寧に描きこまれた背景、浅羽のダンスと、なんの違和感もなくシンクロしており、本当に「アニメーション」という語源、すなわち「命を吹き込む」という意味を、久しぶりに思い出させる作りだった。

 さらに言えば、キャラクター達に「モノローグ」をさせないという、一貫した方針なのか、各キャラクター共に、表情で心情を語らせている。これが実にうまい。キャラクターデザインが、駒都えーじということで、表情つけにくいよなぁ~と、思っていたのだが、そんな心配はみじんも感じさせないほどに、キャラの表情が生き生きとしていた(少年少女達の声優陣が、やや力量不足ではあったが)。圧巻は、秋穂とイリヤの大食い対決。秋穂が、だんだん真剣にイリヤに対峙していく過程、イリヤが徐々に感情をむき出しにし始める変化。これを、モノローグなしで、キャラの表情だけで、しっかりと表現していた。

 ただ、主人公の浅羽に関してだけは、この手法を採ったおかげで、実に優等生的なキャラクターになってしまっているのが残念。原作を読めばわかるのだが、彼はかなり「へたれ」で(と言うより、この世代の、普通の男の子として、当たり前の個性)、そのまどろっこしさが、読者に共感と、いらいらを募らせるのだが、これはさすがに、表情だけで表現するのは、きつかったように思える。
 逆に言えば、こういった主人公の表現の淡泊さが、この作品において、主人公の不在、すなわち、視聴者が共感を寄せる一人称視点の欠如を生じさせたように思える。
 これが、最初に述べた、「最上のダイジェスト」の所以の一つ。

 もう一つ。原作がもつ、浅羽とイリヤを取り巻く他のキャラクター、特にこの物語のある意味でのキーパーソンである、水前寺について語られることが、あまりにも少なかったように思える。水前寺は、原作を読んでいないと、単なる鉄砲玉でしかないのだが、実は、この水前寺こそが、この物語の中心にいると言っていい。全ての鍵を握る位置に、必ず水前寺がいる。また、浅羽との関係も、アニメで語られない重要なエピソードとして、彼の実家での話が入るのだが、これがないため、浅羽と水前寺の関係性が、かなり異様に思える。
 加えて、大人側、つまり、榎本達の背景説明がすっぽり抜けている。原作の感想にも書いたのだが、おそらく僕らの世代(プチオヤジ世代)は、この榎本視線から原作を俯瞰することになるだろうし、原作者自身も、その視点から描いているような節がある。
 そうだとすると、ある意味、そこに視聴者がおくはずの、もう一つの主観。すなわち、榎本の主観で作品世界を眺めることもできなくなっている。これが、やはり、「最上のダイジェスト」と言った意味。
 まあ、この辺は6話に納めると予定された時点で、致し方ないのだが、ブラックマンタをぶんぶん飛ばすくらいなら、ちょっと、そういう説明を、エヴァンゲリオンじゃないけど、オープニングに差し込むこともできたんじゃないかと思う。まあ、あのブラックマンタの映像を作ったら、毎回見せたくなる気持ちもわかるけど…(残念ながら、オープニングで、あれだけブラックマンタがぶんぶん飛べば、その神秘性もヘッタクレも無くなるような気がする)。

 さて、足りない部分をつらつらと書くことになってしまったが、これはひとえに「6話完結」という、十字架を背負ってしまったことに起因するのであって、その中で、この作品を、これだけクオリティーの高いものに仕上げたスタッフの技量は、やはりすばらしいと思う(6巻は、若干絵が乱れていたような気もするが、まあ、いいでしょう。タイコンデロガのシーンは、それでもかなり気合いが入っていたし…)。
 できれば、無理を承知で、13話1クールの尺で見たかった。

 もし、ここをご覧になっている方が、この作品に興味を持たれたのならば、一つ、うまい見方を伝授しよう。
 原作とアニメ、両方見るべし!
 もちろん、「うまい見方」などというのだから、どっちかを先によめなどと、ありきたりのことは言わない。

 まず、アニメの4話(もしくは3話でもいい)まで見る。その上で、原作を一気に全巻読むべし。そして、その余韻が残っているうちに、アニメの残りの(4話)5話・6話を視聴せよ。
 おそらく、アニメを全巻見たあとで原作を読むと、目がストーリーだけを追って、原作者の秋山氏がそこかしこに書いた伏線や、表現の妙を堪能する機会を逸するような気がする。特に、原作の3巻からのエピソードは、先に物語の「オチ」を知っていると、ひどくまどろっこしく思えるはず(特にアニメの5巻は、とばしすぎで…)。
 ボク自身は、偶然にも上に書いたような順番で見てしまったので、この「作品」を十分に堪能できたと思う。

 ところで、冒頭のあらすじだが、原作の感想の方に書いたので、こっちでは省略することにして、今日はこの辺で。
p.s.
 p.s.は鬼門なのだが(苦笑)、あえてまた虎の尾を踏むことにすると、オープニングの主題歌。あれはいただけない。なんか展開が一青よう(字、忘れた)の「もらい泣き(だったっけ?)」にそっくりで、歌唱力がへなちょこなだけに、余計になんだかなぁ~と言う感じがある。
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