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「哲学しよう!」(アニメ評:この醜くも美しい世界)
「この醜くも美しい世界」全12話 GAINAX
監督:佐伯昭志

 例えば、最高の素材が、決して最高の料理を作るわけではないという、そんなことを思い出させる作品。

 この作品では、数千万年ごとに繰り返される地球上の大絶滅が、宇宙意志(?)によって引き起こされたとの仮説を前提にしている。そして、現代に現れた、この宇宙意志は、その姿を美少女の形をもって具現化した。この宇宙意志は、それが最初に接触したものに影響されるらしく、たまたま巡り会った、2人の少年の記憶、想いをその心に植え付けられる。しかも、今までの地球上の絶滅とは異なり、今回の対象、つまり人間は「心」を持っているから、その心までも、この宇宙意思は自らの中に引き取ってしまう。このため、「行き詰まった種を絶滅させる」という、ある種機械的作業に「人の心」というバグを生じることになる。

 この作品で扱っているのは、本当に深遠なテーマだ。確かに人間は、その進化において行き詰まってしまっているのかもしれない。この種は自らだけでなく、その力によって地球をも破滅させるだけの力を得、しかも小出しながら、その力を使い始めている。一方で、この種は個体としても、そして種全体としても、新たな高みに至ろうとする意志を持つというアンビバレントな面を有する。
 ここに、種の絶滅という宇宙意志が働くとどうなるのか。しかも、この作品では、絶滅対象とされた人類の一人たるタケル(主人公)が、この宇宙意思と戦う力(Extended Deffenition)を得るのだが、この宇宙意思の具現化たる美少女(ヒカリ)を、その力をもって守ろうとするから、話はややこしい。
 これも、「人」に、心があるためなのだが、その葛藤は、実は「たった一人の愛するものを守る」か、「自分とその周りのもの、そして全人類を守る」かという究極の葛藤に至るから、実によく考えられている設定だと想う。

 が、残念ながら、この深遠なるテーマと正面から向き合ってこの作品が作られたのかというと、どうもそうではなさそうだ。
 確かに、宇宙意思たるヒカリが、人類と接触し、その「心」に影響されていく過程は、一直線に絶滅へと向かわせる機械的な作業ではなく、宇宙意思そのものに葛藤を生み出すというドラマづくりに必要だとは思う。
 だが、それは、決してラブコメではないはず。自己の過去にとらわれ、その殻を閉ざしているだけの主人公との接触から、どうして「美しい世界」を壊すことに対する葛藤を、宇宙意志ヒカリは持つのか、正直納得できない。
 結局、テーマについて真正面から対峙し、語られているのは、最初の2話と、最後の2話だけではないか? たぶん、残りの8話は、なくてもいいような気がする。
 また、この手の話にありがちな「愛は地球を救う」的な解決の仕方はどうなんだろう? せっかくの深遠なテーマが、結局陳腐な結論で終わり、正直腰砕けになってしまった。

 もちろん、では、駄作かというと、そこまで言いきってしまう気はない。この設定だけでも「アイデア賞」をあげたいくらいだというのも、本音。
 確かに「美少女ラブコメ」というパターンに当てはめれば、それなりの顧客がつくだろうし、特に、この作品が放映された民法BSというメディアを考えれば、無茶な冒険はできなかった事情はよくわかる(これが今できるのは、地上波深夜アニメ枠だけだと言っていいだろう)。
 それをふまえた上で、しかし、やはり、これだけ良い素材をつり上げたのだから、調理の腕もしっかりふるってほしかったとも思う。

 ちなみに、本作品はGAINAXの制作だが、その割には、結構作画があれているなぁと言うのが印象。特に途中の海水浴エピソードでは、キャラクターデザインが変わったかのような原画で、何だかなぁと、思ったことがある。

 今回は、冒頭あらすじは省略した。上でも書いたように、最初の2話で、「起・承」くらいまで語っていて、最終2話で「転・結」となるから、冒頭あらすじを書くことがほとんど、中盤のエピソードにつながらないし、そこまで語ると、物語の重要部分の半分を語ってしまうことになりそうだというのが理由。
 ところで、途中で「アカリ」という、重要キャラ(残念ながら、このキャラのせいで、テーマがぼやけてしまって、不要キャラだと思うのだが…)がでてくるエピソードがあるが、まあ、いいでしょ^^;
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