制作:童夢 監督:井出安軌 音楽:I've/折戸伸治

正直に話すと、この作品に対しては、無数の勘違いをしていた。ひとつは、これが「エロゲ原作である」と思っていたこと。「普通のボーイミーツお姉さま」であると思っていたこと。「OVAである」と思っていたこと。「リビドー全開のエロアニメ」だと思っていたこと。
……今は反省している……。
そもそも、なぜこの認識を覆されたかと言えば、YouTubeにあったこの動画、
http://www.youtube.com/watch?v=cQZBDlJ-1gc&search=Snow%20Angel
を、たまたま、本当にたまたま、KOTOKOのプロモ検索で見つけたからだ。この動画の一部、ヒロインの風見みずほが宇宙船らしきコクピットでホログラフディスプレイを操作していることから、「単なるラブコメ」ではないということはわかった。それだけでも驚きだった。
加えて、その動画の質。このプロモ自体は、後で本編とは別に作られた新作であるということを知ったのだが、この作画、特に動画の質に圧倒された。どこがすごいかは、後述するが、女性をかわいく見せるための微妙な動作を、ほぼ完璧にトレースしている。これは、ただごとではない!
あわててWikiを調べた。違う、全然違う! 思っていたような作品ではない! エロゲ原作ではなく、オリジナルアニメではないか! OVAなんかではなく、WOWOWで放映されているではないか! 確かにちょっとはエッチではあるが、それはホントに刺身のつまみたいなモノではないか!
ちょうど、TSUTAYAの半額セールの日に気がついたので、あわててTSUTAYAに直行。借りてきましたとも! 借りてきて、見始めた。
こっ……これは……。
主人公の人生に関わる重大な疾患という限定条件は、新味はない。ヒロインが年上で先生というのも、まぁ、少なくはあるけど、斬新というわけでもない。そのヒロインが実は宇宙人(遭難した有人火星探索船の乗組員を助けた宇宙人とのハーフ)で、主人公とヒロインがその秘密を共有するというのも、それはそれでよくあるハナシ。それを隠すために同居(本作品の場合は結婚)するというのも目新しくはない。
ストーリー自体、設定自体は実際に、新機軸はみつからなかった。
では、何がこの作品の魅力かといえば、まず、キャラクターの造形がその最大のものだろう。
なんといってもヒロインの風見みずほのキャラクターが秀逸。若いのから年寄りまでの男性の普遍的願望…というより、妄想を形にしたら、こういうものができましたという、まさにそのもの。
頭はいいが出しゃばらない。抜けているところも見せてくれて、それがまた愛嬌がある。尽くすし嫉妬もしてくれるが、引いてほしいときには引く。もちろん、容貌・スタイルともに文句なし。めがねも似合う(笑)。何より一途。適度にエッチ^^;。
もちろん設定だけではない。その設定を具現化する「絵」がまたすばらしい。例えば、抱きついてくるその瞬間、わ~っと、一直線にくるのではなく、目の前での「ため」を、ちゃんと絵で表現している。振り向き見上げる顔の動き一つとっても、まずあごを引いてから、視線だけ上げ、その上で軽く上向きの顔の動きを入れる。
万事、この調子でやられる。二次元は二次元と分別が付いている僕でさえ、どきどきしてしまった(笑)。これだけ破壊力があるキャラクターなので、主人公に感情移入できる部分が少なくても(というより、この主人公はよくよく見ると、ひどいジゴロだ^^;)、このヒロインとの共感を得るために強制的に感情移入しなければならないシステムになっている^^;
キャラの描き方といえば、声を当てている井上喜久子さんが本当にぴったりと役にはまっている。ベルダンディーでは「ババくせぇ女神さま…」と思っていたのが、すごくつやのある演技をしていて驚いた。この人、その声質の割にはこういう生々しい色気のある役の方がはまり役なんだなぁと思う。
それから、もう一つの魅力はその「背景」にある。この舞台は実際にある場所を写真で撮り、そこから背景を描き起こすという、最近の恋愛シミュレーションでよく使われる(らしい)やり方で背景が描かれているようだ。
で、その描かれ方がまた美しい。舞台は夏なのだが、夏の熱気やにおいまで伝わってきそうなほどに、光と色のつやが見事に表現されている。
実際に、この場所はこの作品の放映後、ファンが多く訪れ、その行為は「聖地巡礼」と言われるらしい。現に彼らの聖地巡礼報告ブログで写真を見るに、とても美しい風景の場所だ。本名で加入しているmixi(当然、オタ趣味は極力隠している(苦笑))のマイミクが、この半年間で2人も聖地巡礼しているのには、おどろいたが…。
そのうち一人は↓
http://blackleg.blog57.fc2.com/blog-entry-8.html
またあんたか、くろさん!w
さらには、音楽もいい。あんまり説明の要もないと思うがI'veが、初めてメジャー作品に関わり、その所属歌姫のKOTOKOと川田まみをフューチャーして、物語のテンポを良くしている。
音楽といえば、そのオープニングのアニメーションがすばらしい。一見何気ないキャラクターの紹介のように見えるが、よく見てみると、カメラを振ったときの微妙なブレや、ピント合わせのタイミングなどが再現されている。ヒロインたちも、カメラに向けて話しかけるような動作で演技をしている。ちょうど視聴者がハンドカメラでヒロインたちを写しているようなそんな錯覚を起こさせる。これでつかみはOKという感じ。
ということで、この作品は、キャラクター造形、背景、音楽が、見事にコラボレートしてできあがった、すばらしい一面を持つ。
ただ、ストーリーはというと、かなりきついなぁと…。おもしろくないとは言わないけど、せっかく用意した主人公の限定条件が「難病」以上の道具になり得ていない。3年間の停滞(最低限の生命維持機能だけを残して、そのほかの活動が停止する。主人公はこの発作のため3年間眠っていた)が主人公に与えたであろう心理的負担がなかなか目に見えて主人公のハードルにはならない。むしろ病気そのものがハードルであるならば、「停滞」という症状で、実年齢より3つ下という設定を入れる必要があったのだろうか? 確かに「停滞」と「加速」というキーワードで、物語の機軸にはなっているけれども、本来ならば(ネタバレ→)「姉」の死ということから生まれた主人公内面の原因の発見があまりにも唐突であったし、それを克服することへのヒロインのかかわりがもう一つしっくりこなかった。
そういう意味で、この作品はどの部分を切り取ってもすばらしいのだが、全体としてみれば平凡な作品になっているのではないかと思う。
とはいえ、僕は好きですよ、この作品^^
そうそう、テレビ未放送の13話は、ストーリーとしての重要性は全くないし、雰囲気もエロっぽく作られているので、あまりおすすめはしない。12話までの作品としてみた方がよいと思う。
ちなみに、この続編として作られた「おねがい☆ツインズ」は、この作品とは全く逆で、ヒロインに魅力は感じられなかったけれども、その設定とストーリーの作り方が意外性に満ちていて、おもしろかったというのが、ぼくの印象。
これも、近いうちに感想を書きます^^。
見たことなくて(を
聖地巡礼も現地着くまで知らなかったんですよ?w
ツインズのOPを思い出しながら写真を
撮っていましたw
> 聖地巡礼も現地着くまで知らなかったんですよ?w
> ツインズのOPを思い出しながら写真を
> 撮っていましたw
そうなんですかぁ。いや、確かに風光明媚なとても美しいところだって、別の人の聖地巡礼に描いてあったから、観光として通りかかっても、全然変じゃないですよね。
変なのは、むしろ、偶然通りかかったにもかかわらず、当然のごとくキャラクターのお面を持っているような人ですよね^^
いや、お見それいたしましたw
お面とな・・・
ちなみに踏み切りで撮った危険な写真は
アニメの顔を合成しただけですよ?w
全ては偶然だったのですよ・・・
> アニメの顔を合成しただけですよ?w
確かに、よく見ればそうですね^^ あれつけて写真とってたら、まさに変質者ですものねw
どうか、偶然の神様がくろさんをこれからもお守りしますように(主に、真実を推測した人たちからww)
それはさておき、最後の1行、よろしくネ
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