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駄目オタ徒然草
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「長い長~いエピローグ」(漫画評:藍より青し)
藍より青し」文月晃 ヤングアニマルコミックス(白泉社)
 15巻(単行本未完結)
藍より青し16

 以前、アニメ版の同作品のレビューを書いた際、「エロマンガです」と書いたような気がするが、最後のクライマックス、単行本でいえば15巻以降は、そういう色合いはなくなった。
 まあ、掲載紙が「ヤングアニマル」なので、どうしても「恋愛もの」を描けば、艶っぽい絵を描かなければならなかったんだろうが、それにしても話の内容が「純情恋愛もの」だったので、あからさまに「エロ」絵を挿入している作者の努力がいじらしかったりもした。
 だから、最後に作者が一生懸命、エロを抑えてお話の決着をつけようとしているあいだ、編集としても「エロ」絵の要求は出さなかったんだと思う。アニメにもなった同作品は、掲載紙にとってはお宝だし、作者に対しても、また同誌で描いてほしいという思いもあったんだろう。

 …が、残念ながら、最後はクライマックスとしては、どうも迫力不足だったような気がする。
 理由は簡単。11巻から引っ張っていたくせに、偽花菱薫があまりにも、敵として力不足。ラスボスどころか、中ボス程度にもならない力量で、端から薫の敵ではなかったせいだろう。
 それから、これは、あくまで想像なのだが、作者は途中で話の中心をサブヒロインのティナ(以下、キャラクターは公式ウェブのページ参照)に移しているように思える。特に12巻から、15巻にかけての、ティナの描き方は、本当に力が入っていたし、読者としても感情移入がしやすかった。最終話がずっとティナ視線で描かれている点も興味深いところだ。だから、こう思うのは、僕がティナびいきだというだけの理由ではないと思う。
 葵は、ひたすら待ちの女性で、どこをどう突っついたって、微動だにせず薫を思っている。薫も誰にでも優しいところはあるが、その思いは1巻から変わらずにずっと、葵をむいている。
 一人ティナだけが、葛藤しながらも薫への思いをどうにか、なんとかしたいと思っていて、この気持ちの揺れ、苦悩が、読んでいるものにとって、おもしろい(興味深い)し、おそらく描き手としても面白かったのではないだろうか?
 そんなわけで、僕自身は、ティナエピソードがエンドとなる15巻が最終巻で、それ以降は少々長いエピローグだった(どう転んだって、こういう結末しかあり得ないという終わり方だったし)ような気もする。

 さて、最終話あたりの感想はこれくらいに。順序が逆になったが、冒頭のあらすじを、レビューらしく。

 主人公花菱(本条)薫は、明王大学(直接語られていないが、描き方からすると、彼が最終的に就く職業は弁護士のようなので)法学部に在学中。結構苦学生らしく、親からの仕送りらしいものはないが、大学から少し離れた場所に六畳一間くらいのアパートを借りて住んでいる。
 大学からの帰り、彼は鼻緒が切れて困っている着物姿のかわいい女性に出くわす。手先が器用な(それだけではないのだが)彼は、彼女の鼻緒をなおしてあげる。が、今度は、都心(新宿か、池袋?)の電車の乗り方が分からないらしい…(あの辺は、僕も最初迷いましたよ^^;)。
 行き先を聞き、自分と帰る方向が同じなので、彼女を送っていってあげることになるのだが、なれない都会に出てきた彼女は電車の中で寝てしまう。薫は、困ってしまうが、それでも眠った彼女を起こすのは忍びなく、終点まで乗っていき、その電車が折り返し、目的駅に着き、彼女が起きるまでずっと肩を貸してあげる。
 彼女は、人を捜しにきたらしいが、地理に不案内らしいので、薫は、その場所まで道案内をするのだが、彼女がたどり着いた場所は、空き地だった。
 泣き崩れる彼女。雨が降りだし、どうしようもなくなったため、近所の自分のアパートで雨宿りさせることになる。
 彼女は、思い人を訪ねてきたらしい。が、その人に会えなかった。「この人だ」と差し出す写真には、幼い頃の彼女と少年。
 「!? 葵…ちゃん?」
 写っていた少年は、薫の幼少時代の姿。彼女の尋ねてきたのは、花菱薫その人だったのだ。

 実は、花菱薫は、花菱財閥の後継者。といっても、父は亡く、母(妾だったか?)も花菱家から追い出され、祖父に半ば虐待の如く薫をしつけられる。が、行き過ぎた後継者育成は、とうとう薫をして花菱家からの出奔を決意させるに至る。
 当時、薫には幼い頃何度か会っただけの「許嫁」がいた。それが、桜庭グループの一人娘「葵」だった。
 葵は、ずっと薫のことを思っていたが、ある日薫との婚約が(彼が出奔したため)破談になったことを聞かされる。そのことが信じられない葵は、薫に真意をただすべく、一人薫を訪ねてきたのだった。

 で、このあと、すったもんだのあと、二人は一緒に暮らすことになる。ただし、桜庭館とよばれる洋館に住む葵は、幼い頃から躾係兼姉として一緒に暮らしてきた雅の監視のもと、あくまで「大家」として。桜庭館の使用人が住んでいた長屋に住む薫はあくまで「下宿人」として、夜10時以降は逢瀬のできぬという、非常に健全な関係を保ったまま、同居とはほど遠い環境で生活していくことになる。

 ここに、大学入学時から薫のことを思っているティナ、薫とティナの後輩妙子が、下宿に転がり込み、薫に幼い頃優しくされてから、薫を一途に思い続ける令嬢繭がたびたび押し掛け、さらには妙子の従妹ちかが、近所の高校に入学したため、転がり込んで、はい、ハーレムのできあがり^^;

 というわけで、あとはどたばたラブコメディーの始まり始まり。

 まあ、冒頭にも書いたとおり、薫も葵もぶれることなくお互いを思い続けて、そよ風のごとき障害は立ち現れるものの、大きな災いもなく(10巻頃の、アニメ第一部の最終エピソードに相当する試練が最大のものか?)、16巻(未刊)の最終巻まで話は流れる。
 その間、薫はやや男として成長するが、まあ、葵は最初からホントになんにもぶれずにそのまま。これだけぶれずにラブコメとして成立すること自体がすごいと思わせる。
 ただ、だからそのため、もしかしたら女性としての魅力はあるのかもしれない(残念ながら、僕は魅力を感じない)が、作中の登場人物としては、もう、行動パターンが最終巻まで読めてしまうので、おもしろくもなんともなかった^^;。
 そういう意味で、この作品を引き立てている真のヒロインはティナだと思うのだが、どうでしょうかね? 彼女の葛藤と、自分につける折り合い、そして決断がホントに見ていて、ドキドキだった。

 個人的には、まあ、絵もかわいいし、なによりティナが素敵だから^^;、読んでいてそれなりに面白かったとは思うが、う~ん。
 正直に言えば、アニメの方が面白い。第二部の「~縁~」はともかくとして、第一部の全26話を見れば、それでいいかなと思う。とりあえず、「藍より青し」を見たいという方は、まずアニメを見て、誰か萌えるキャラクターがいれば、コミック版も見ればいいかな? と、思う。
 まあ、それだけアニメの質が高かったということで。

 ちなみに、最終巻は16巻だと思われるが、連載のページ数から考えると、もしかしたら、17巻まであるかもしれない。その場合には、大幅な加筆があることが予想されるので、そうなった場合には、またレビューを追加するかもしれないことは、おことわりしておく。
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