fc2ブログ
駄目オタ徒然草
 レビューを中心にご覧になりたい方は、カテゴリーの月別インデックスをクリックすれば、一覧表示が見られます。
「うぐぅ…って、断末魔じゃないです」(アニメ評:Kanon)
「Kanon」全13話 東映アニメーション

 18禁PCゲーム→全年齢対象PCゲーム→コンシュマーゲームソフト→地上波キー局放送アニメと、この手のゲーム業界で、順調にステップアップを果たし、少なくとも、一定の社会的認知を得た作品。その、アニメバージョン。
 残念ながら、ゲームをプレイしていないため、ゲームのシナリオを前提としたコメントはできないことは、最初にお断りしておく。

 さて、この作品においては、作品全編を通した「監督」という役職はないようだ。だから、シリーズ構成と各話の演出担当が、作品の責任者と言うことになりそう。
 もっとも、だからといって、全編を通じて、バラバラと言うことはなく、シリーズ構成がしっかりしているのか、物語が散漫になることはない。
 もちろん、いわゆる恋愛シミュレーションのアニメ化であるため、各回とも5人いる各ヒロインにクローズアップされる(というより、各キャラクターのストーリーを寄せ集めているとも思える)が、主人公、あゆ(第1ヒロイン)、名雪(第2ヒロイン)が、全編を通してうまく絡んでおり、最終話でこの物語のキーである、この三人にの関係性と、彼らの決断に素直に感情移入できる作りになっている。

 また、全編を通して流れる音楽も、とても美しく、各シーンを効果的に盛り上げている。特に、(ネタバレ→)あゆが、自分が転落した木の切り株で、祐一(主人公)に、別れを告げる場面、オープニング曲が流れるシーンや、静かに流れるBGMの中、まことが祐一の背中から消えるシーンは、図らずも、その演出の巧みさ(あざとさと、裏腹ではあるが)で、目頭を押さえてしまった。
 この作品は、こういった、音楽を巧みに利用した演出のうまさに、非常に助けられている作品でもある。
 どうも、恋愛シミュレーションゲームは、その表現方法の性質から、「音楽」によって、場面・シチュエーションを盛り上げる演出が主流らしく、こういった技法が、これらをアニメ化した際に生かされることが多いように思われる(あくまで、想像であるが、少なくとも、今見ているアニメ版AIRはゲームをプレイしたことがあり、その演出が、まさにそのような感じになっていることからの推論ではあるが)。

 それから、これは、仕方のないことだが、こういった作品にある、めちゃくちゃな非日常の挿入、この物語の中では、学校の「舞踏会」、物の怪の怪異、死の病に冒された少女など、は、リアリティーとはかけ離れたものとなり、それこそ、一昔前の低学年向け少女漫画の設定でもないだろうと思われる、物語の世界観に対する違和感を醸し出している。
 だから、恋愛のリアリティーや、そのシチュエーションの疑似体験性を求める視聴者にとっては、やや苦しい作品になるかもしれない。
 ただ、この物語が「奇跡」を、モチーフに物語全体を構成している以上、「奇跡」が起こりえるような要素を物語中に織り込まなければならない。そうだとすると、そもそも、日常をリアルに描くよりも、一見異常なシチュエーションを用意した方が、説得力を持つことになる。
 だから、このような「非日常」的な設定自体を否定するところから、この物語を始めることは、難しかったと思われる(これは、おそらくアニメのもんだではなく、原作となるゲームの問題なのだろうが、もちろん、その原作の違和感に対しても妥当することであろう)。
 これは、この物語のはらんだ必然的な矛盾であるので、これを、まず飲み干すことから、この物語に入る必要がある。もし、これができるならば、なかなかに、この物語は秀逸なものと感じられるはずだろう。

 あと、キャラクターデザインだが、それこそ顔の半分もある目、野球のホームベースにボンボンをつけたような顔、どう見ても幼児体型のキャラクターのスタイル。これは、この物語を見る上で、一つの踏み絵になることは仕方がない。これは原作を忠実に再現しようとしたものであり、あえて、そうした制作者の意気やよしと、僕は思う。

 とりあえず、個人的には、恋愛シミュレーションゲームの雰囲気を体感しつつ、実はそのゲームの中で案外まじめに、物語が作られているのだということを知るために(僕自身が、この作品で、それを知った)、恋愛シミュレーションゲームと関係のない層に是非見てもらいたい作品である。
----------------------------------------------------------
 ところで、書き終わったあと、ざっと声優人を眺めたのだが、なんか、すごくありません? 声優に詳しくない僕でさえ、知ってる名前ばかり。端役(というと怒られるんだろうが^^;)の美汐にさえ、坂本真綾使ってるって…。
スポンサーサイト