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駄目オタ徒然草
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3月のインデックス
【3月のレビュー】

-映画評(アニメ)-
 ☆☆★★★『劇場版 AIR』
      制作:東映アニメーション 監督:出崎統


 ☆☆☆☆☆『雲のむこう、約束の場所』
      制作:Comix Wave 監督:新海誠


-漫画評-
 ☆☆☆☆☆『夢かもしんない』星里もちる
      BIG COMIC(小学館)


 ☆☆★★★『ルナハイツ』星里もちる
      BIG COMIC(小学館)


-アニメ評-
 ☆☆☆☆★『アルジェントソーマ』
      制作:サンライズ 監督:片山一良


 ☆☆☆☆★『NOIR ~ノアール~』
      制作:ビィートレイン 監督:真下耕一


 ☆☆☆☆☆『宇宙のステルヴィア』
      制作:XEBEC 監督:佐藤竜雄


 ☆☆☆☆☆『フィギュア17』
      制作:GENCO 監督:高橋ナオヒト


 ☆☆☆☆★『灰羽連盟』
      制作:RADIX 監督:ところともかず


 ☆★★★★『JINKI extend』
      制作:フィール 監督:むらた雅彦


 ☆☆☆☆★『藍より青し』
      制作:JC STAFF 監督:下田正美


 ☆☆☆★★『真月譚 月姫』
      制作:JC STAFF 監督:桜美かつし


-書評(小説)-
 ☆☆★★★『詩人の夢』松村栄子
      ハルキ文庫(角川書店)


 ☆☆☆☆★『紫の砂漠』松村栄子
      ハルキ文庫(角川書店)


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「がってん、がってん!」(アニメ評:アルジェントソーマ)
「アルジェントソーマ」全25話 テレビ東京
2001年春視聴終了
監督:片山一良 音楽:服部克久

『アルジェントソーマ』
 2000年といえば、エヴァンゲリオンのブームが一段落した頃か? その頃にサンライズが満を持して送り出した作品。
 多くの制作者が、エヴァの成功を分析して、二匹目のドジョウを探したに違いないことは、このころの漫画・アニメのラインナップを見てみるとよくわかる。
 が、世の中そんなに甘くないというのが現実。この作品も、エヴァのにおいをさせながら、それでも、サンライズらしいオリジナリティーを遺憾なく発揮させて作成された、これ単体としては、実によい作品だ。
 が、残念ながらヒットせず。

 ヒットするからいい作品だとはいえず、また、逆もしかり。この作品は、クオリティーが高いにもかかわらず、その評価を不当に低くされたままになっている、不幸な作品だろう。

 冒頭のあらすじはこうである。

 近い未来、宇宙から巨大な金属製のエイリアンが襲来していた(はい、そこ、笑わない!)。全長20m弱くらいの、灰色と黄色に縁取られた人型のエイリアン(笑うなって!)。このエイリアンたちは、地球の各地に降下すると、アメリカ大陸のある地点、「巡礼ポイント」と呼ばれるそこを、ただひたすら目指し、途中にある町をなぎ倒し、踏みつけながら進んだ。
 人類は、「巡礼ポイント」に何があるか、エイリアンが何を目指しているのか、エイリアンが巡礼ポイントに到達すると、いったい何が起こるのか、知らず、知らされないまま、ただひたすら、エイリアンの巡礼ポイント到達を阻止すべく戦うことを余儀なくされた。

 その頃、カネシロタクトとマキ(恋人同士ね、いうまでもなく)は、アメリカの大学(防衛大学みたいなところか?)に通っており、タクトは鉱物研究を、マキは生物学(だったと思う)の研究を行っていた。が、マキは実は、主任教授に巻き込まれ、怪しい研究を行っていた。
 まあ、勘のいい人なら、わかると思うが、マキのやっていた研究というのは、エイリアンの死体を切り刻み、フランケンシュタインよろしく、巨大改造人間を作っていたのだ。
 そして、ある日、その研究が完成し、その化け物は立ち上がった。マキによってさらにその研究に巻き込まれたタクトの目の前で、マキと教授をその手で押しつぶしながら…。

 奇跡的に助かったタクトは、エイリアンのフランケンシュタインに復讐を誓い、研究を知った者として軟禁された病院から逃げ出す。
 復讐を誓うものの、途方に暮れるタクトの前に、怪しい男が現れる。そして、タクトの目的をかなえるための力を得させることを代償に、その男の指示により顔を変え、ソーマと名乗り、男とある契約を結ぶ。その契約とは…。

 当時、エイリアン対策は一般の軍隊がやっていたようだが、犠牲はあまりにも巨大だったらしい。そこで、国連(米軍?)は、対エイリアン対策部隊として、北アメリカ大陸のある場所(詳細忘れた)に、フューネラルという特殊部隊を設置し、オーバーテクノロジーの固まり、エイリアンたちを分析した結果得られた、エイリアンエンジンと呼ばれる動力を備える超兵器「ザルク」を配備する。

 ソーマが男と交わした契約は、そのフューネラルに潜伏し、ザルクのデータを男に渡す。そういうものだった(実は、それは仮の内容なのだが、ソーマはそれが真の内容だと信じていた)。
 ソーマは、その部隊に配属され、パイロットとなる。なぜそんな簡単に? と、思われるかもしれないが、その秘密は、おいおいわかるだろう。
 そして、フューネラルにある日、ハリエットとフランクがやってくることになる。ハリエットは、親も身よりも、エイリアンによってなくした自閉症気味の少女。フランクは…、言葉をしゃべれぬつぎはぎの体。本当の名前を「エクストラワン」と呼ばれるそれは、そう、マキを、タクトの前で押しつぶした巨大なフランケンシュタイン、マキの主任教授が作り上げた、化け物だった。
 あろうことか、このフランクはハリエットの言葉にだけ耳を傾け、ザルクとともに、エイリアンと戦う「兵器」となったのだ。しかも、ハリエットはマキにうり二つだった…。

 ここから、ソーマとしてのタクトの苦悩と葛藤が始まる。そして…。

 というのが、舞台背景と、主人公たちの紹介。
 なぜ、エイリアンが突然地球にやってきたのか。この謎はちゃんと解き明かされる。エイリアンたちが目指す巡礼ポイントとはなんなのか? これも解き明かされる。そもそもエイリアンがなんなのか、これこそがこの物語の最大の謎だが、これももちろんあかされる。さらに、なぜ、フランクがハリエットにだけ心を開くのか、ザルクがオーバーリミットをかけると、パイロットを飲み込んでしまうのはなぜかについても、同様である。
 加えて、サブキャラクターたちの生い立ち(フューネラルは、なんか、愚連隊のようですな(笑))も、きっちりドラマであかされる。

 そして、この作品は、最後にはきっちり大団円を迎える。そういう意味で、さすがにサンライズだけのことはあるといえるだろう。また、「エヴァンゲリオン」が始めた手法である、オープニングに物語の「秘密」を織り込むという手法も、実はやっている。一見関係のないような映像が流れるエンディングがそれだ。また、これは作品自体の評価とは異なるが、よくできた「コミック」も展開されていた。
 斬新な手法も用いられた。オープニングにバラードを用い、まるでエンディングのような雰囲気にし、通常のロボットものが用いる、オープニングをアップテンポにして観客をハイにさせ、物語にのめり込ませるという手法を放棄した。
 また、一方で、サンライズらしく、台詞の言い回しをあえて難解にし、劇に重みをつけた。作画のレベルは、全体を通して高く、さすがに老舗が発注者だけのことだけはある。
 音楽だって、大物服部克久を起用しているから、当然力の入り方も違う。

 が、なぜか、ヒットしなかった。

 これは、あくまで推測なのだが、「やりすぎた」というのが原因ではないか?
 つまり、謎をあかしすぎた。物語を大団円にしすぎた。オープニングでテンションを下げすぎた。必要以上に台詞回しを難解にし、何をいっているのかわからなくさせ、あとでフォローしても、誰も、その台詞を憶えていない…。
 そう、サービス精神が、いきすぎると、レストランやブティックで居づらくなるように、このアニメも、サービスが行き届きすぎた結果、作品のできに反して、観客が引いてしまったのではないか。
 あるいは、エヴァンゲリオンのように、終わったあとに「議論の余地」が、残りすぎたため、視聴者が議論を始め、その結果盛り上がったのと反対に、「なるほど、そうか!」と、皆が納得したため、終わったあとに、潮が引くようにみんな次の作品に移っていった。

 ただ、個人的には、これだけのメニューを盛りつけられたら、しっかり味わった方がいいという主義なので、この作品は堪能した。実におもしろかったといえる。
 もし、見てみようと思われる方がおられたら、1本1本をじっくり見た方がいい。が~っと、25話全部を、一気に見るのではなく、1週間に2話ぐらいのペースを守って、ちゃんと消化不良を起こさないように見るといい。

 SF好きなら、結構はまってみられると思う。