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駄目オタ徒然草
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「コッペリアって、なに?」(アニメ評:ノアール)
「ノアール」全26話 テレビ東京
2001年秋視聴
監督:真下耕一 原案:月村了衛
音楽:梶浦由記

『ノアール』

 このアニメは、リアルタイムで見ている。ただし、最初の数話は、見逃した。
 これには訳がある。当時この番組が改編で始まる前に、毎週放映(確か木曜日だったと思うが)していたのは、「アルジェントソーマ」というアニメで、サンライズが柳の下の「エヴァンゲリオン」をねらって作ったと揶揄されたアニメであった。しかし、僕自身はこの「アルジェントソーマ」は、おもしろかったので、ずっと見ていたのだが、その最終回のあとに流された、「ノアール」の、新番組予告(止め絵だったかもしれない)は、美少女アニメにしか見えなかった。
 正確には記憶していないのだが、当時はおっきなお友達のための美少女アニメがはやり始めた頃で、ストーリーも、話のヤマも、落ちもないような話が、氾濫していた(偏見か?)。
 だから、この予告を見た瞬間「またか」と思い、あとは思考停止。翌週からは、その時間にチャンネルを合わせることはなかった。

 ところが…。

 ある日、そんなことも忘れて、何気なくチャンネルザッピングをしていたら、たまたま、この番組にチャンネルがあって、その瞬間、とにかく動く動く! 少女が飛び跳ね、ありとあらゆる暗殺技を使いながら、画面がぐりぐり! しかも、そのBGMはヨーロッパの宗教曲を思わせるような女性の声とストリングスによるもので、非常に美しいものだった。
 「なんじゃこりゃ!」と、早々に切り捨てた番組であることも忘れて、見入ってしまった。それがこの「ノアール」との出会い。

 とにかく、偏見で最初から見なかったことを後悔した。もちろん、DVDが出てから、レンタルだが全部通しで見直した。

 この作品のあらすじは、殺人の手段しか記憶のない少女(高校生くらいの年齢)霧香と、両親を殺された記憶を持つ殺し屋の美女ミレイユが、伝説の殺し屋「NOIR」を名乗り、殺人を生業としながら、それぞれの過去に迫っていくという話。
 二人の記憶と過去が徐々にあかされ、二人の関係があかされるとき、避けられない宿命が迫る。
 日本、中近東、ヨーロッパを舞台に、歴史に暗躍する秘密結社や、「NOIR」という、女二人組の殺し屋の伝説を、徐々にひもとき謎に迫るストーリー仕立ては、視聴者を飽きさせない。

 しかし、なにより、このアニメの魅力は、とにかくキャラクターが動くこと。しかも、その動きが無茶でも無茶に見せないほどに、体の動きを緻密に追って、破綻がないのだ。
 このアニメの見せ場は、霧香とミレイユが敵の暗殺者を次々と殺していくアクションシーンだ。お化け屋敷のびっくりギミックのごとく、戦いの場を神出鬼没に移動しながら、無表情にさくさく殺していく霧香と、その霧香の殺し方を「下品なやり方」として蔑みながら、人間的な表情で、やはり敵をさくさく殺していくミレイユの非常にダイナミックなアクションの対比を実にかっこよく描いている点にある。
 この辺は、殺人劇自体を嫌う人には、この魅力自体が「駄目ポイント」になるだろう。しかし、この作品には、ハリウッドのドンパチ殺人劇のあほらしさはない。むしろ、必殺シリーズの外連味があるため、殺人を見ているというより、美しい殺陣を一種の「芸」として見るがごとき印象を受ける。

 さらに、このアニメの魅力は、先にも書いた、荘厳な女性コーラスとストリングスを使ったBGMにもある。この曲をバックにしながら殺人をするのだから、彼女らの「暗殺」が、その手際の美しさと相まって、一種の宗教的儀式にさえ思えてくる。
 が、そう思わせる演出は、実は、ある意味終盤への伏線でもあるのだから、「やられた~」という気分だ。
 この点からも、この作品は、トータルに演出の行き届いた、秀作だといえる。

 暗殺をテーマにした作品であることに抵抗のない人には、是非おすすめしたい。

 ちなみに、ALI PROJECTが歌う、この作品のオープニング「コッペリアの棺」はぶっ飛んでいる。とにかく歌詞がわからん。あとで歌詞カードを見ても、辞書を引かねばわからん単語さえある。
 が、そのメロディーと声は、一度聞いたら夢に出そうなくらい、インパクトはある。もちろん、作品世界を表す上で、非常によい選択であることは、いうまでもない。なお、このアーティストは「ローゼンメイデン」というアニメの主題歌も歌っている。こっちも一度聞いたら、夢に出そうなくらいインパクトがある。アニメは1度見て、二度と見なかったが、歌は頭にこびりつき、夢でうなされそうだった。
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