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駄目オタ徒然草
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「そんなことどうだって…」(アニメ評:灰羽連盟)
「灰羽連盟」 全13話 フジテレビ
監督:ところともかず 原案:安倍吉俊
視聴日不明

『灰羽連盟』
 多分、相当のアニメファンでも、その存在すら気づかぬうちに通り過ぎていく存在、そう路傍の瓦礫のように…。これはそんなアニメ。
 フジテレビの深夜枠で放送された(はず)。深夜枠であるにもかかわらず、お色気も、流血も、ドンパチも、萌えもなく、淡々とストーリーが進んでいく。一応、謎らしきものが存在するのだが、主人公たちはその謎を前提とした世界に妙に適応し、日々、その謎を含んだ世界を紹介しつつ暮らしていく。それを淡々と追い続けるお話。

 もともとは、原案者である安倍氏のイラストから構想をふくらませ、一つの世界観と、一つのストーリーをくみ上げたものらしい。だから、世界中どこを探しても、「原作」あるいは、「ノベライズ」「漫画化」されたものはない。(あとで調べたら、同人誌のカタチで、漫画等が出されているそうです)今のところ…。このアニメと、イメージボードたる、安倍氏のイラストしか、この世界を表すものはない、今時貴重なアニメ。

 さて、このアニメの魅力を語るには、まず、その世界観を語る必要がある。ところが、この世界観を語ることが、この物語のストーリーを、語ることになってしまうからややこしい。レビューをすることが、ネタバレになってしまう…。
 が、あえて、これをおそれず、いってみよう。

 この物語の舞台となるのは、世界のどこかにあるのか、それともこの世界にはないのか、わからない町「グリ」。高い塀に囲まれた小さな町。その中には、「人間」と「灰羽」が住んでいる。
 人間は、物語の中では語られないが、おそらく、普通の人間。生まれ、恋をし、子をなし、そして死んでいく、そんな存在。
 一方、灰羽は、ある日どこからかやってきた「種」が「繭」を形作り、その中から、ある年齢で生まれてくる。それは、子供であったり、大人であったり…。灰羽は、生まれたときから言葉を理解し、そして「人間」としての一定の知識も有している。ただ「記憶」が、「灰羽」として生まれる前の、ごくわずかの「夢」しかない。そして、この「夢」で、「灰羽」の名前が決まる。この物語の主人公は、空から落ちる夢を見た。だから「ラッカ(落下)」。
 灰羽を人間と区別するのは、その背中に生えた灰色の「羽」と、頭に載せた「光輪」。天使の姿に似ている。でも、生まれたばかりの「灰羽」は、羽も光輪も持っていない。羽は、生まれた1~2日中に、激烈な痛みを伴って生えてくる。光輪は、仲間がこれを作り、頭の上に載せる。これで「灰羽」の完成。

 「灰羽」は、人間の中で暮らしているが、別の秩序を持つ。一つ、灰羽は人間のお古しか所有できない。一つ、灰羽は「お金」を持てない代わりに、「灰羽手帳」に労働の対価が記載され、これが一種の通貨となる。一つ、灰羽は、壁に近づいてはいけない。一つ…。
 「灰羽」は、人間のお古しか使えないので、住んでいるところは廃工場や、人が住まなくなった建物。この物語は「オールドホーム」と呼ばれる、古い建物に住み着いた、灰羽たちの物語。

 そして、灰羽には、一つの宿命が定められている。物語の中では、詳細には語られないが、「夢」で得た名前の「裏の意味」を見つけ、「魂」が救われた者た者は、ある日、忽然とこの世界からいなくなる。灰羽たちは、「壁の向こう」にいったといい、そして、それは必ずしも順番ではなく、そのときを迎えない者もいるらしい(そのときを迎えぬまま老いた者は、話師と呼ばれる、一種の僧侶になるらしいが、詳細は不明)。
 この物語の中でも、ラッカの慕う2人の灰羽がそのときを迎え、それがこの物語の重要なエピソードになるのであるが、だから主人公が成長したり、何かを得たりするわけではない。もちろん、心境の変化はあるが、それは、「成長」というより、「認識」と「覚悟」を得るステップでしかないように思われる。
 さて、世界観の説明は終わったが、この世界を生まれたばかりの灰羽、ラッカが徐々に世界を認識していくというのが、この物語のあらすじ。
 いったい「灰羽」とはなんなのか、「壁」は? そして壁の中の墓標のようなものはなんなのか? この町は、どこの世界にあるのか、全く何も語られないので、謎解きや碩学的興味を持って、このアニメを見たら失望するに違いない。だから、ただただ、何か不思議ないやしに浸りたいという人向けかもしれない。
 が、それではちょっと、レビューを書いた僕が「な~~~~~んにも」考えていないと、思われそうでシャクなので、いくつか推理を…。ここからは、読まなくてもいいです。

 まず、「灰羽」とはなんなのか? 灰羽はたった一つの記憶として「夢」を持って、生まれてくるが、この「夢」は、「死」のにおいがぷんぷんする。クウ(空)やラッカは、空から落ちる夢、ネム(眠)は、眠り続ける夢、レキは、自身では「瓦礫」の夢だというが、実はそうではないことが、物語の中であかされる。カナ(河魚)は、水の中にいる夢、ヒカリ(光)は、輝くものの中にいる夢。それぞれ、「落下による死」「昏睡からの死」「(ないしょ)の死」「水死」「焼死」につながる。
 最初は、それぞれ「自殺」だと思っていたが、灰羽には「子供」、それも「幼児」に近いものがいるため、これは違うような気がする。
 ただ、ラッカと、レキは、「罪付き」といって、灰羽が黒く染まる病気にかかるが、この現象は、おそらく「自殺」に絡むのだろう。「自殺」をしたものに、この罪付きが現れると思える。この辺はキリスト教の教えの反映かもしれない。
 もっとも、この罪付きも「救ってくれるもの」を、認識した時点でこれから解放される。「自殺」を「後悔」し、悔い改めるということか?

 とすると…。
 灰羽は、死んだ者で、未だ神の下に召されなかった者たちだと思われる。なぜ、神の下に召されなかったかといえば、何らかの現世に対する未練があった。あるいは、意識していようが、していまいが「悔い」があった者たち。
 悔いがあった者たちは、その悔いを見つけるそれが名前の「裏」の意味。ラッカって、確か(うるおぼえ)「○果」だったと思う。果実の果。夢の中で助けようとしたカラス。あんまし生々しいのはいやなんですけど、子を宿しながら投身自殺した少女ってのが想像です。
 そして、その「悔い」を脱したとき、灰羽は天に召されると。いつまでも「悔い」の束縛から離れられなかった者は、話師になると。

 もっとも、この町には、人間もいるから、死者と生者が一緒に暮らしているというのも変な気がする。そして、確かに「外の世界」はあるようだから、この辺はどうなんだろう?とも思う。

 ただ、そういう謎は、多分、この物語を楽しめる人にとっては、余り重要ではないだろうと思う。あくまで、この物語は灰羽たちが、お互いにふれあい、癒し合う姿に、見てるこっちがいやされるという、それが魅力だと思うから。
 現在、DVD出てますが、レンタルでは、め~~~~~~~~~~~ったに見つけられません。というより、見つけたことがありません。
 この辺も、いまいち注目されない原因かもしれない。いいアニメなのに。
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